「カイシキ」の役割
「カイシキ」とはお料理に添えたり、料理の下に敷いたりして季節感を表すものだそうです。
漢字では「掻敷」「改敷」「皆敷」「会敷」と書くのだとか。季節の葉っぱや和紙などがそれにあたります。
クリニックの食事では日本料理店のようなうっとりするような美しい演出はできませんが、いくつかの役割を目的に、生の葉野菜を刻んだものやマッシュポテトなどの食材を料理の下に敷くようにしています。
その役割とは、「盛り付け」「機能」「栄養」の三つに分けられます。
★盛り付け
【彩りをよくする】
至極あたりまえのことですが。鮮やかな見た目で食欲をアップさせます。
【器の大きさと料理の量のバランスを整える】
さまざまな形や大きさの食器があれば料理の量や大きさに合わせて盛り付けられるのですが、収納スペースに限りがあるので、たくさんの種類の食器を扱うことができません。「大は小を兼ねる」と言いますが、それでも料理の大きさ・量に対して器が大きすぎるのはあまり格好のよいものではありません。こういう場合に大葉を一枚、サッと湯通ししたレタスを一枚、といった具合に料理の下に敷くと「器の大きさ」と「料理の量」のバランスが整い、見た目のアンバランスさ、不自然さが解消できます。
【盛り付けに立体感を出す】
前述のとおり、食器の種類が決して豊富ではありません。料理によっては、深さのある器に入れれば底のほうに隠れてしまい、お皿にのせればのっぺりしてしまい、見栄えよく盛りつけられない場合も。こういう場合、料理の下に水菜などの葉物を敷いて高さを出し、立体感のある盛り付けにします。
★機能
【料理が滑らないようにする】
厨房で作られた食事はワゴンに乗せられ、エレベーターを使って1階~3階へ運ばれます。ワゴンがエレベーターを出入りするときにわずかながらガタンと上下するので料理がお皿の上で跳ねたり滑ったりします。盛り付けが崩れるだけでなく、器に余計な汚れがついてしまうので料理の下に敷いた野菜は滑り止めになります。
【器の汚れを少なくする】
懐石料理などに使われる食器は、料理のみならず食器もなかなかの品物です。この食器に料理のシミがつきにくくして器を大切に使うのも"カイシキ"の役割なのだそうです。
クリニックで使用する食器に料理のシミがつきやすいものはほとんどないのですが、油汚れを落としやすくする、つまり労力、水、洗剤の無駄を減らすという意味もあります。いわゆる"エコ"ですね。
【保温効果】
魚のソテーの下にマッシュポテトを敷いています。移動中にお皿の上で滑らないようにするためでもありますが。。。
わずかな違いですが、ほんのちょっとの気持ちばかりの程度ですが、冷たいお皿の上にのせられた料理がすこしでも温かさをキープできるようにという思いがあります。
★栄養
【ドレッシングなしで生野菜をたくさん食べてもらう】
何もかかっていない生野菜はたくさん食べずらいもの。かといってマヨネーズやドレッシングをかけると、カロリーや塩分が過剰になりがちです。
「麻婆豆腐」や「えびのチリソース」などは ‟あん"やソースがたっぷり。これらが料理の下に敷いた刻み野菜に絡んで生野菜を美味しくたくさん食べられるようになります。